WWDC とは?
- WWDC とは“World Wide Developers Conference”の略であり、Apple が技術者や開発者を主な対象として最新技術の説明を行うために開催している、毎年6月に開催される1週間の年次イベントのことである。
- 今年の WWDC20 は、日本時間の 6月23日2時からスタートした。
- 開催される年を最後に付けて WWDC 2020 と呼ばれているが、更に WWDC20 という略称が使われることが多い。
WWDC20 Keynote のまとめ
Keynote とは?
- WWDC では、最初に Keynote と呼ばれる基調講演が行われる。その講演では、WWDC の開催から一年間の間に Apple が注力する最新技術の概要について発表される。
- Keynote の内容は開発者とユーザ向けのものになっている。
- Keynote の次に Platforms State of the Union というセッションが開かれるが、そちらは完全に開発者向けのディープな話になっている。設計や実装をする人ならば Platforms State of the Union の内容もしっかり把握しておく必要があるが、そうでなければ Keynote の内容さえ理解しておけば十分である。
WWDC20 Keynote のトピック
- WWDC20 の Keynote では、以下の最新技術が発表された。
- iOS 14
- iPadOS 14
- AirPods ソフトウェア
- watchOS 7
- プライバシー
- tvOS 14
- macOS
- 新しい Mac
① iOS 14
ホーム画面
- iPhone でできることが増えているため、今年は、長年変わることがなかった熟成されたホーム画面の見直しから始めた。
- App ライブラリ
- アプリケーションが増えると最初の数ページ以降を把握できなくなってしまう。それを解決して簡単に整理する機能として App ライブラリを提供する。
- ホーム画面の最後に追加されるスペースで、アプリを AI が自動で整理してくれる。
- おすすめ、App Store で最近追加したもの、カテゴリ別となる。
- 各カテゴリ内でよく使うものは上に表示される。
- ウィジェット
- 様々なサイズ (3種類のサイズ) のウィジェットを選べるようになった。
- ウィジェットをホーム画面に配置できるようになった。
- スマートスタックという機能を使って、同じ場所に複数のウィジェットを配置することが可能である。
- ピクチャ・イン・ピクチャ
- ホーム画面上だけでなく、アプリ上でもピクチャ・イン・ピクチャが動作し続ける。
- 例えば Apple TV の再生画面をピクチャ・イン・ピクチャにしてホーム画面上で再生すると、メモなどのアプリを呼び出しても、アプリケーション使用中も視聴できる。
- ピクチャ・イン・ピクチャを利用すると、iPhone の機能と動画を同時に楽しめる。
- ホーム画面上だけでなく、アプリ上でもピクチャ・イン・ピクチャが動作し続ける。
Siri
- これまでは Siri を呼び出すとフルスクリーン UI に切り替わって今まで見ていたものが隠されていたが、それをコンパクトな表示 (デザイン) に変えた。
- Siri の知能が進化し、より賢くなった。
- メッセージを送る時、Siri に音声メッセージの録音と送付を頼めるようになる。
- 音声認識によるデバイス上でのテキスト変換が、より正確で安全になった。
- 対応言語が増えた。
- 文章単位ではなく会話全体の翻訳が求められている。その場合は自然で簡単に安全に会話できることが重要である。そこで、オフラインで安全に使える翻訳機能 (アプリケーション) を提供する。
- 翻訳 App が標準で追加される。
- 縦画面の状態でマイクをタップして話しかけると、テキストと音声にすぐ翻訳される。
- 画面を横向きにすると会話モードになる。マイクボタンは一つしかないが、二つの言語の音声を自動的に判断してくれる。
- 11言語間のどの組み合わせでも、テキストと音声の翻訳を可能にする。
- サポート言語に日本語が含まれている。
メッセージ
- 今年は会話を楽しむための新しい方法を提案する。
- 最新の会話が上位に表示されてしまうので、複数の会話をしていると大事なものが埋もれてしまうことがある。そこで、大事な相手との会話をピンで一番上に固定できるようにした。
- ミー文字の組み合わせが増える。
- グループでの会話はフォロースメのが大変なことがある。そこで、グループでの会話が混乱しないように、以下の機能を追加する。
- 特定のメッセージにインラインで返事できる。
- 関連メッセージを独自スレッドとして表示することが可能になる。
- メンション機能が追加される。この機能を使えば、会話を意図した相手を明確に示すことができる。自分がメンションされた時にだけ通知するオプションもある。
- 画面上部のグループメンバー一覧表示が変わり、一番最後にアクティブだったメンバーが大きく表示されるようになる。
- グループに対して写真などを設定できるようになる。
- 特定のメンバーにピンを設定することができる。
マップ
- 新機能の追加だけでなく、再設計にも力を注いだ。
- 全米での高精度地図のロールアウトを完了し、ナビゲーション機能を改善。地図の詳細も大幅に改良した。
- 年内には他国 (イギリス、アイルランド、カナダ) の詳細マップ (高精度地図) も提供できるようになる。
- iOS 14 では目的地に簡単に行けるようになる。そして環境に優しい移動手段 (自転車) もサポートする。
- マップのチームが信頼のおけるブランドと手を組んで最高のガイドを提供するようになる。
- それによって場所 (おすすめのレストランや店、世界中の名所など) を探しやすくなった。
- 場所は保存できて再確認も簡単であり、自動的に最新情報にアップデートされる。
- iOS 14 ではカーボンフットプリントを削減するための自転車ルートを検索できるようになる。
- 自転車専用通行帯や小道も案内する。
- 標高を計算に入れ、上り道か平坦な道かの選択肢を表示する。
- ルートの混雑状態や急な坂、階段もわかる。完全に階段を避けることもできる。
- ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ ベイエリア、上海、北京などで提供される。他の都市も今後追加していく。
- EV (電気自動車) 経路用の機能も追加される。
- iOS 14 が充電状況を観測しながら標高や天候を計算し、自動的にルートに充電スポットを追加する。
- 充電方式を認識するので、互換性のある設備に案内する。
- 渋滞や制限ルートを認識して代替ルートを選択できるようになる。
- マップのチームが信頼のおけるブランドと手を組んで最高のガイドを提供するようになる。
CarPlay
- 車内利用に最適な壁紙が追加された。
- 新しいカテゴリーのアプリケーションに対応した。
- 駐車場や EV 充電スタンド、食事の注文など。
- 車の鍵を見直した。iPhone だけでロック解除できるデジタルの車の鍵を提供する。
- iPhone でロックを解除し、車を始動することができる。
- NFC で動作している。
- 鍵の情報は、セキュリティを考慮して iPhone の Secure Element に保存される。
- 鍵、すなわち iPhone を紛失しても iCloud 経由で無効にできる。
- メッセージを使って鍵を他人と共有できる。
- この CarPlay の車の鍵は、iOS 13.6 から提供される。
- U1 チップを活用し、超広帯域テクノロジーで正確な空間認識を可能にしている。
App Store
- App Clips
- 必要な時に必要なアプリケーションを入手できるようになる。
- App Clip はアプリケーションの小さな部分である。軽くて速いので、必要な時に素早く使える。
- 支払いに Apple Pay を使えるので、素早く支払える。
- カードとして起動し、必要な機能の利用が終わったら消えるので、ホーム画面を散らかすようなことにはならない。
- App ライブラリから最近使った App Clip を簡単に開けるので、そこからフルバージョンのアプリケーションを App Store よりダウンロードできる。
- App Clip は必要な時にアプリケーションの機能の一部分を使うものなので、見つけやすさが重要になる。
- Web ページから簡単に見つけて開くことができる。
- 友人からもらったメッセージからも開くことができる。
- マップで見つけたお店のカードから App Clip を開いて注文することができる。
- パーキングメーターなどの NFC タグにも対応している。
- QR コードをスキャンして App Clip を開いて買い物することもできる。
- Apple が作った App Clip コードがその場にあればすぐに利用できる。
- その場にあって目に見えるコードと NFC の両方を採用している。
- アプリケーションを導入していない小さな店でも App Clips を使えるようにするため、複数のビジネスをサポートする Yelp のようなアプリケーションが、彼らがサポートする店で App Clips に対応する。
- 必要になった時に速く起動出来るようにするため、サイズは 10MB 以下に抑える必要がある。
② iPadOS 14
- iPadOS は iOS の機能を基盤に作られている。そこに iPad 用のユニークな機能を加えることで iPad での体験を高めている。
- 以下が iPad でしか得られない体験になる。
- Apple Pencil
- トラックパッド
- LiDAR スキャナを使った AR 体験
強化されたポイント
- 今年は iPad のために設計されたデザインを提供する。
- iOS 14 の新しいウィジェットが iPadOS 14 でも利用できる。
- 写真
- 写真のブラウズと整理を新しいサイドバーでできるようになる。
- ファイル
- ツールバーを刷新し、ドロップダウンメニューを加えて機能を1つのボタンにまとめた。
- カレンダー
- カレンダーにもファイルと同じようなツールバーを用意した。
- ミュージック
- より大きな画面を活用すべくアップデートした。
- 再生中はフルスクリーンのプレーヤーを表示でき、アートワークや歌詞を一度に表示できる。
Siri
- iPadOS 14 の Siri は結果が画面の右下の角に表示されるので、Siri を使いながらアプリケーションを参照できる。
通話
- これまで作業中の画面が着信の画面で完全にカバーされていた iPad の着信時の画面が、iPadOS 14 ではコンパクトな通知で表示されるようになる。
- この通知は VoIP アプリケーションからの着信にも使え、iOS にも採用されている。
検索
- これまでの iPad での検索はフルスクリーンで表示されるので、それによってコンテキストを見失うこともあった。そこで、検索を見直してコンパクトなデザインにした。
- 検索はホーム画面でもアプリケーションからでも可能である。
- Universal Search
- iPad の全てを一括検索できるようになる。
- つまり、iPad の中身の全てを串刺し検索できる。
- アプリケーションランチャーになる。
- メッセージや通話のための連絡先を探したり、書類を探したり、Keynote やメッセージ、メール、ファイルの中も検索可能である。
- 人や場所の情報、Web 検索もできる。
- 文字を入力するにつれて関連候補が現れ、タップすれば検索結果を表示できる。
- Mac の Spotlight 検索とほぼ同じような動作になると思えばよい。
- iPad の全てを一括検索できるようになる。
Pencil
- アイデアを形にする時に手書きと描画の組み合わせが最適な場合があるが、後で変更するのが大変である。入力したテキストのように簡単には扱えない。入力したテキストは選択やコピー&ペーストが簡単で、挿入も容易である。
- そこで、今年は手書きもテキストと同様に簡単かつパワフルに扱えるようにする。
- 手書きされた文字を簡単にコピー&ペーストできるようになる。
- 図形を描くときに綺麗に見せたければ、図形の終わりで少し止めておけば自動で理想の形に変換してくれる。
- その時、同じ大きさと角度で変換してくれる。
- 手書き認識も大きく進化している。
- 手書き文字にもテキスト編集と同じジェスチャーが使え、ダブルタップで単語、再びダブルタップで文を選択できる。
- 機械学習のおかげで、近くの絵図を避けて手書き文字だけを選択できる。
- 選択後は、簡単に色を変えたり移動したりできる。新たに書き込むスペースも作れる。
- 手書き文字にもテキスト編集と同じジェスチャーが使え、ダブルタップで単語、再びダブルタップで文を選択できる。
- iPad にスクリブルを追加する。
- あらゆるテキストフィールドに手書きで入力すると、テキストに自動変換される。例えば Safari のテキストフィールドに手書きで文字を書いて検索することができる。
- スクリブルは文内の英語と中国語を判別できる。
- 手書きしたものを自動で検知するデータ検出機能を提供する。
- 手書き文字の中の電話番号から電話をかけたり、住所からルート検索できたりする。
- 別のアプリケーションで手書きの文字を使いたい場合、手書き文字を選択して「テキストとしてコピー」をタップし、アプリケーションの方にペーストできる。
③ AirPods ソフトウェア
- 自動切換え
- 複数の Apple 製品 (Mac、iPad、iPhone、Apple Watch) で AirPods の接続先を切り替えたい場合、これまでは手動でデバイスの接続変更操作をしなければならなかったが、これからは接続先が自動的に切り替わるようになる。
- 例えば iPhone の Podcast を聞いた後に iPad でドラマを見ようとすると AirPods の接続が自動的に切り替わる。その後、Mac でビデオ会議を始めると自動的に Mac に接続が切りかわる。そして、会議中に iPhone に電話がきたら今度は iPhone につながる。
- 複数の Apple 製品 (Mac、iPad、iPhone、Apple Watch) で AirPods の接続先を切り替えたい場合、これまでは手動でデバイスの接続変更操作をしなければならなかったが、これからは接続先が自動的に切り替わるようになる。
- AirPods Pro の空間オーディオ
- 最先端のサラウンドサウンドシステムが実現している音に包まれるような体験が AirPods Pro で可能になる。
- 左右のイヤーパッドだけでは実現が難しかったため、高度な空間アルゴリズムを作成し、映画館での体験を再現した。
- 指向性オーディオフィルターとそれぞれの耳に届く細かい周波数の調整によって、音をあらゆる場所に配置できるようにした。
- 「人は頭を動かす」という実際の生活で使う状況を考慮し、音が広がる空間である音場を固定するために、加速度センサーとジャイロスコープで頭の動きを追跡し、音場をリマップすることで頭が動いてもぶれないように音の方向を自動調整する。
- 頭だけでなく iPad や iPhone を動かすこともあるので、頭と画面の位置関係を把握するために両方の動きを常に比較している。
- 対応するのは 5.1 サラウンド、7.1 サラウンド、Dolby Atmos のコンテンツになる。
④ watchOS 7
コンプリケーション
- これまでは開発者が文字盤に一つだけしか出せなかったコンプリケーションを複数出せるようになった。
- コンプリケーションが使える文字盤が増える。
- タキメーター付きのクロノグラフ文字盤
- コンプリケーションが中央にある特大文字盤
- 文字盤の設定方法も刷新された。
- コンプリケーションの作成には SwiftUI も使えるようになる。
文字盤の共有
- App Store でサードパーティ製の文字盤を探すことができるようになる。
- Web サイトで新作の文字盤を探すことも可能になる。
- リンクから新しい文字盤を簡単に入手できるようになる。
- 友人から文字盤を直接受け取ることもできる。
- 開発者が文字盤を直接提供できるようになる。
- SNS を通じて共有もできる。
マップ
- iOS 14 と同じくサイクリングにも対応する。
- 様々なルートを時間や距離と共に確認できる。
- 専用レーンの有無も表示される。
- 移動時間や高低差も分かり、曲がり角に差し掛かると教えてくれる。
- 自転車では通れない所や階段の方が早いところも通知する。
- サイクルショップなどが追加できる。
ワークアウト
- ワークアウトの種類にダンスが追加された。
- iPhone のワークアウト確認用のアプリケーションのデザインが一新され、「アクティビティ」のアプリ名が「フィットネス」に変わった。
健康維持
- 睡眠のトラッキング
- 睡眠をモニターできるようになっただけでなく、十分眠ってもらうことを目指している。
- 寝る時間と起きる時間、寝る前のルーティンを行う就寝準備を設定できる。
- 寝る時間になると Apple Watch が睡眠モードになる。
- 手洗い
- 手洗いの自動検知の機能を搭載する。
- 水や手の音と手の動きで手洗いを自動検知して 20秒のカウントダウンがはじまる。
- 手を洗っている時間を計測し、十分洗うように指導する。例えばカウントダウンが終わる前に手洗いをやめると手洗いを続けるようにメッセージが表示される。
- 手洗いの自動検知の機能を搭載する。
⑤ プライバシー
- Apple はプライバシーを基本的人権と捉え、デザイン段階から製品に組み込む。
- デバイスに含まれる個人情報を安全に保護するため、Apple は全製品およびサービスに以下のプライバシー対策を講じている。
- データ量の最小化
- 第三者がアクセスできるデータを最小化する。
- デバイス上の知能
- 情報をサーバに送らずなるべくデバイス上で処理し、データを収集させない。
- セキュリティ
- プライバシー保護にセキュリティは不可欠である。
- 透明性とコントロール
- データを提供するかどうかをユーザが目的を理解した上で選べる。
- データ量の最小化
プライバシー強化
- Sign in with Apple
- 簡単かつ安全でプライバシー対策も万全なサインイン機能を昨年から提供している。
- 今年は既存のアカウントと統合できるようになる。
- 例えば既存のアプリに「サインインを Sign in with Apple 方式ににアップグレードしますか?」という機能を追加できるようになる。
- 位置情報
- 正確な位置を共有するか、大体の場所のみ (推定位置情報) にするかをユーザが選べるようになる。
- マイクとカメラ
- 現在や最近の使用状況が分かるようになる。
- 使用中かどうかがステータスバーに表示されるようになる。
- トラッキング
- Safari のインテリジェント・トラッキング防止機能に加え、アプリケーションでのトラッキングにも対応する。
- App Store のポリシーとして、トラッキングする前にユーザに許可を得るように義務付ける。
- アプリケーション・プライバシー
- アプリケーションをダウンロードする前に、そのプライバシーポリシーを知ることができるようになる。
- 食品なら購入する前に成分表を見ることができる。
- アプリケーションも同じ仕組みにすべく、各デベロッパに実態を申告してもらう。
- その結果を開示し、データを (他者への提供があるかも含めて) どの程度集めているかを可視化する。
- アプリケーション・プライバシーの開示先は App Store の製品ページになる。
- ユーザはアプリケーションをダウンロードする前に App Store 上でポリシーを確認できる。
- 全ての App Store (iOS、iPadOS、macOS、watchOS、tvOS) でそれを実施する。
- アプリケーションをダウンロードする前に、そのプライバシーポリシーを知ることができるようになる。
Home
- ホームに新機能を追加する。共通する特性は以下。
- 簡単さ
- 日常的に使えるように、設定や使い方が簡単である。
- プライバシー
- 例えば Siri は Apple ID ではなくてランダムな識別子を使っている。
- 円滑な連携
- AirPlay が iPhone から直接テレビに共有できる、など。
- 簡単さ
- これらが家で過ごす時間をより楽しいものにしてくれる。
HomeKit
- より簡単で安全な HomeKit の開発のためのフレームワークと Apple デバイス上でのエンドツーエンドの暗号化を提供している。
- デバイスのエコシステムも既に構築済みである。
- 開発をより加速するために Amazon や Google などとスマートホーム分野における相互運用の提携 (アライアンス) を新たに結んだ。
- HomeKit をオープンソース化し、使い勝手とプライバシーを保証する。これにより、新たなアクセサリやデバイスとの互換性を高める。
Home アプリケーション
- Home アプリケーションは全てを管理する。簡単な操作を行うだけでアクセサリの追加が可能である。
- iOS 14 では Home アプリケーションがオートメーションを提案する。
- 例えば玄関の明かりや車庫の扉を自動化することができる。
- Home アプリケーションの一番上に優先度の高いアクセサリが表示され、施錠や消灯を一眼で確認できる。
- アダプティブライティング
- iOS 14 では、終日、自動でスマート電球の色温度を調節できるようになる。
- カメラ
- iOS 14 では重要な監視エリアを活動ゾーンに設定できるようになる。
- 顔認識も追加された。iOS や iPadOS の写真アプリケーションに紐ついているピープルアルバムから詳しい情報を得て、その人物が誰なのかを特定する。
- 人物の訪問を HomePod が声で知らせてくれる。
- Apple TV (tvOS 14) でカメラのライブ映像をピクチャ・イン・ピクチャで見ることができるようになる。
- コントロールセンターからアクセスしたり、Siri への指示も可能。もちろん、映像をフルスクリーンで見ることもできる。
⑥ tvOS 14
- ビクチャ・イン・ピクチャに対応した。
- AirPlay が iPhone で撮影した 4K 解像度の映像の共有に対応した。
- Apple TV+
- Apple Original の新作 (アイザック・アシモフの「ファウンデーション」) を制作中である。
⑦ macOS
- 今年のコードネームは macOS Big Sur。ネーミングのプロセスについては秘密。
- Big Sur ではデザインを一新し、主要なアプリケーションをアップデートした。
- これまでよりも更に iOS や iPadOS に近い見た目に進化している。
デザイン
- Mac OS X 登場以来の大掛かりな変更になっている。
- アイコンの形状を見直した。
- ボタンやコントロールを改良し、必要な時のみ表示するようにした。
- 各種シンボルマークに一貫性と識別性を持たせた。
- 各種設定へのアクセスや通知やウィジェットの表示も改良した。
- 各種の内蔵サウンドも、より洗練された音に再マスタリングした。
- コントロールセンターを搭載した。
- 通知センターとウィジェットも新しくなった。
主要アプリケーションの変更点
メッセージ
- 全デバイスとシームレスに連携する。
- 今年はメッセージの機能が大幅に増えた。
- 検索機能が強化されている。
- 写真やビデオの共有も簡単になった。
- ミー文字も Mac 上で作成可能になった。
- メッセージのピン止めも各デバイスで同期可能である。
- グループ機能も iOS 14 と同様に強化された。
マップ
- デザインが変わった。
- 目的地に向かう友人の到着予定時間を知る機能が増えた。
- iOS 14 のマップの新機能も全て取り込んだ。
Mac Catalyst
- Mac Catalyst は iPad のアプリを Mac に移植する際に使う。
- Mac 用の Swift Playgtrounds は Mac Catalyst を使っている。
- その Mac Catalyst が進化した。
- Mac のネイティブの解像度をフルに活用するようにアプリケーションを最適化できる。
- メニューやキーボード API、チェックボックスや Date ピッカーなどを提供する。
- macOS Big Sur 用の新しいマップやメッセージの移植にも Mac Catalyst が使われている。
- macOS Big Sur にバンドルされている iPad と共通のかなりのアプリケーションが Mac Catalyst で移植されており、増加中である。
Safari
- 今年は Safari のパフォーマンスやデザイン、プライバシー保護機能など、初の大幅なアップデートを行った。
- 今年は JavaScript のパフォーマンスが劇的に向上する。また、ページの表示速度も向上した。
- よく訪れる Web サイトなら、Safari は Chrome に比べて 50% 増しの速度で表示する。
- 省電力機能においては業界最高レベル保ち、プライバシー保護機能でも業界トップの充実を誇る。
- プライバシー
- プライベートブラウズやクッキーブロッキングに加えてインテリジェント・トラッキング防止機能を導入した。
- インテリジェント・トラッキング防止機能は各サイトの個人情報収集状況を可視化してくれる。それによりプライバシーを保護する。
- プライバシーレポートボタンをクリックするだけで個人情報の状態がわかる。
- 保存されたパスワードの安全性をモニタリングし、情報漏洩を防ぐ。
- プライベートブラウズやクッキーブロッキングに加えてインテリジェント・トラッキング防止機能を導入した。
- 機能拡張も大きく変化した。
- WebExtensions API のサポートの強化で他のブラウザ用の開発を容易にした。
- Mac App Store に Safari の機能拡張のカテゴリが加わる。
- 機能拡張はプライバシーを侵害することがあるので、機能拡張を使うサイトを限定したり、当日だけ機能拡張を使ったり、全サイトへと起用したりすることが可能になる。
- その他の新機能も盛り沢山である。
- デザインが大きく変わった。
- 新デザインのタブなど。
- スタートページが自動的にカスタマイズ可能になった。
- Safari 自体に翻訳機能が搭載された。
- 自分の主言語ではないページを見ていると翻訳ボタンが検索フィールドに表示される。そのボタンで翻訳したい言語をクリックすればページ全体を自動翻訳してくれる。
- デザインが大きく変わった。
⑧ 新しい Mac
Apple シリコン
- ついに Apple のカスタムシリコンを搭載した Mac が年内に出る。
macOS Big Sur と Apple シリコン
- あらゆる全てのアプリを、新しいバージョンの Xcode を使って Apple シリコンネイティブ対応にできる。単に再コンパイルするだけである。数日間で対応を完了できる。
- そのために Universal 2 というアーキテクチャを開発した。シングルバイナリで Intel アーキテクチャと Apple シリコンの両方をサポートする。
- Office for Mac や Adobe Creative Cloud、Photoshop など、既に多くのアプリケーションが Apple シリコン上で稼働している。
- 今日の Keynote で見せた macOS Big Sur は、実は A12Z Bionic でデモしていた。
- Apple は Microsoft と協力してきた。Office for Mac はもう Apple シリコンネイティブである。
- ユーザがシームレスに移行できるようにするため、アップデートが遅れるアプリケーションがあっても、ユーザが使えなければならない。そのために過去の経験で PowerPC から Intel プロセッサへの移行の時に提供した Rosetta を活かして、macOS Big Sur では新バージョンの Rosetta 2 を搭載する。
- 既存の Mac アプリケーションを自動的に新しい Mac で動く形にする。
- 以前の Rosetta よりも高速で強力で高い互換性を誇る。
- インストール時にアプリケーションを変換することで素早い起動を可能にする。
- 実行中のコードも変換できるので、JIT コンパイラや Java コードのブラウザにも対応する。複雑なアプリケーションやプラグインも処理できる。
- ユーザが意識せずに使えて性能も抜群である。
- Rosetta はゲームでも力を発揮する。
- 仮想化技術
- macOS Big Sur では新しい仮想化の技術も導入している。
- Linux のような環境や Docker のようなツールも動く。
- 新しいアーキテクチャの Mac では iPhone と iPad のアプリが、そのまま修正を加えなくてもダイレクトで問題なく動く。
- 新しい Mac の購入初日から Mac App Store でダウンロード可能である。
Quick Start Program
- Quick Start Program に参加すると Apple シリコンで動作するアプリケーションの開発に関するサポートを受けられる。
- Quick Start Program の参加者は Mac mini の筐体に A12Z チップと 16GB のメモリ、512GB の SSD を搭載した DTK (Developer Transition Kit) というハードウェアも利用できるようになる。
移行について
- 初の Apple シリコン搭載の Mac が出荷されるのは年末である。
- 移行期は2年を見込んでいる。
- Intel 版の Mac のサポートと OS のアップデートは続けるし、新しい Intel 版 Mac を発売する予定もある。
ベータ版の提供
- OS は開発者ベータ版として今日公開する。
- パブリックベータ版は来月から試せる。
- 今日発表したソフトウェアは今秋に提供 (正式リリース) される。
Keynote では詳しく語られなかったこと
iOS 14
- ウィジェットの実装には SwiftUI が必須になる。
- Safari 以外のブラウザや「メール」App 以外のメーラーを標準設定可能になる。
- 絵文字キーボードに絵文字の検索機能がついた。これにより、自分が入力したい絵文字を簡単に探せるようになった。
- アクセシビリティに背面タップ (ダブルタップ、トリプルタップ) の機能が追加された。この背面タップの動作に、ユーザが非常に多くの操作を割り当てて呼び出すことができるようになった。
- サポートするデバイスは iPhone 6s 以降である。つまり、iOS 13 が動くデバイスであれば iOS 14 も動作する。
iPadOS 14
- iPadOS 14 Developer Beta には App ライブラリがない。今後実装されるのかどうかは不明である。
- iPadOS 14 は iPad Air 2、iPad Pro、iPad (第5世代) および iPad mini 4 以降に対応している。つまり、iPadOS 13 が動くデバイスであれば iPadOS 14 も動作する。
App Store
- Apple が近く実施される App Store のルール変更を発表した。
- この新しいルールでは、開発者は、アプリのリジェクトだけでなくその根拠となったルールにも異議を唱えられるようになる。また、ルール違反のせいでバグ修正のアップデートが保留になることもなくなるとのこと。
HomePod
- Apple Music だけでなく Spotify などのサードパーティのサービスも利用可能になる。
macOS Big Sur
- メジャーバージョンが、ついに 10 から 11 にあがる。
Apple シリコン Mac
- Universal App Quick Start Program は 500 ドルで参加できる。
- Universal App Quick Start Program で入手できる Developer Transition Kit は貸与品である。